月さま宅のエイタに高耶さんBDイラを貼り付ける折に、ふと
“月さんなら、直江に何を囁かせます?”
なんて呟いてみたところ、こんな素敵なSSをお返事に返して下さいました。
月さま、幸せな高耶さんをありがとうございますvvv




『雨だれ』  作:月花草

今日はオレの誕生日だ。
でもあいにく、夕べからどしゃぶりで。
せっかく日曜日だからと、直江は休日出勤しなくていいように、普段の2倍も3倍も残業して、せっかくもぎ取ってくれた休みだったのに。
ほんとは、今日は二人で海に行くはずだった。
オレが弁当を作って、直江の運転で、ふらっと近くの海へ行けたらいいななんて。
もう一月も前に、独り言のように何気なくつぶやいたいた俺の言葉を、お前は覚えていてくれて。
そのためにせっせと働いてくれたのに。
激しく窓を叩く雨音を聞きながらため息をついてると、
「雨の海も良いですよ。海岸で車を停めて眺めているだけでも。」
なんてお前は言うけど。
俺は小さな声で
「怖いから」
と断った。
雨の日は暗くて昼間でも夕方みたいに灰色だろ?海も荒れてるし。夜みたいに暗い海は怖いんだ。吸い込まれそう。
そうつぶやいたオレの気持ちを汲み取って、直江は、家であなたを独り占めしていましょうと嬉しそうに笑った。
ぎゅっと後ろから抱きしめられて、幸福に酔う。
お前の長く大きな指がオレを包んでくれるから、背中を預けられる安心感とぬくもりに泣いてしまいそうになる。
お前の前でだけだ。涙がでるのは。もう涙なんて出ないと思っていたのに、愛しいと思える存在がオレに感情の機微を教える。
直江がオレの耳に唇を寄せて囁く。
激しい雨音でよく聞き取れなくて、オレは指を直江の頤に沿わせ、さらに自分の耳に近づけた。
「何?もういちど」
「・・・・・」
「え?」
「お誕生日おめでとう。高耶さん。生まれてきてくれてありがとう。」
そう囁いて、さらにぎゅっと腕に力を込めて抱きしめられた。
首にかかる直江の息遣い。
頬にかかる直江の髪の毛。
お前を愛し、愛されて、独り占めできる幸せ。

囁きはお前からの一番大切な何にも代えがたいプレゼントになる。
「愛してる」
そうダイレクトに耳に吹き込まれた。
穏やかな時間が流れていく。
幸福ってこんなことをいうのかな?

いつしか、どしゃぶりは優しい雨音に変わっていき、雨だれがゆっくりと線をひきながら穏やかに窓を伝った。































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