「ほら、見て、高耶さん」
そう言って掻き分けてくれた茂みの先にはぴかぴか光るキイチゴの実。 手渡してくれたのをおそるおそる口に含めば、上品な甘みと香りがいっぱいに広がった。
「おいしーい!」
そう一言発するなり後は自分でせっせと摘み取っては口に放り込む高耶のことを、にこにこと直江は見つめる。
「気に入ってもらえてよかった。イチゴの時季は終わりかけてて、これが最後の一群れなんです」
ほっとしたように言うから思わず直江の方を振り向いた。
「これで最後?なのにボクが食べちゃっていいの?」
「もちろん。……怖い思いをさせたこれはお詫び」
「???」
「お願いだから嫌いにならないでくださいね。あなたに見せたいものが他にもいっぱいあるんです」



                                                  「イラズノモリ -6-」より


餌付けされる高耶さんは萌えv