〜〜 松王さくら 『若葉繁れる』1話より 〜〜

ふたりで座る縁側には、時折、爽やかな五月の薫風が吹き抜けて高耶の髪を乱していく。そのたび首を振って煩そうに髪をかきあげては、陽射しの眩さに目を眇める。
そして見つめていた直江の視線に気がついて、照れたように笑いかけてくる、その至福。どんな贈り物も追いつかない、自分にとって最高の誕生日の贈物(プレゼント)。

が、そんな直江の幸福は長くは続かなかった。

「それがねえ、そうでもないのよ。高耶くん」
開け放たれた障子の陰、奥の部屋を通りかかった冴子が、言葉じりを捕まえてさっそく混ぜ返してきたのだ。

姉ちゃんにかかるとダメダメな直江も大好き。 姉ちゃんは姉ちゃんで弄るのも愛情表現だったり するのだろうケド…。(苦笑)  小菅



〜〜 松王さくら 『若葉繁れる』2話より 〜〜

「でも?」
「夜だともっと香るらしいです。今晩にでも離れに泊まってふたりで確かめてみましょうか?」
言外に潜ませた意味に高耶が気づくまで少々の間。
「……バカヤロー!出来るかっ!そんな真似!」
真っ赤になって怒鳴りつけそのままずんずん歩き出す高耶の後を、くすくす笑いながら直江が追いかける。
ふたりの歩みが香りの溶けた大気を巻き上げ、馨しい風となる一瞬。

それは、すばらしい季節の朝まだきの風景―――

照れてぷんすか怒る高耶さんも大好きなら、 そんな高耶さんを「カワイイ人だ…」などと思いつつ 大人の余裕かます直江も大好きだったり…v  小菅