『 残月楼夜話 ―鞘当― 』より


後日。
持参した焼き菓子に高耶は大喜びで、直江は大いに面目を施したのだが、 肝心の江田邸での茶会のことは一向に話してくれなかった。
それとなく水を向けてもすぐに話を逸らされてしまう。
今も水屋に逃げ出されてため息をつく直江のことを気の毒に思ったか、微苦笑を浮かべながら十六夜が種明かしをしてくれた。
家人だけの内輪の茶会だというのに、先方では高耶のためにわざわざ着替えを用意してくれていたらしいのだ。その衣装というのが―――
「……ドレス……ですか」







うわ〜!高耶さんっ!ダメですよ!
私がいないとこで、なんて恰好をっ!(N)