L'ESTRO ARMONICI ―終わりなき夜の押印―

カツーン――……。
最後の珠の余韻が消えて、遊戯は終った。
再び力をなくし嗚咽に震えながら、高耶は、ぐったりと自分を 嬲る男にもたれかかった。
まるで本当の恋人のように、こんなときだけ、男の手は優しくなる。

出口の見えないこの闇がいったいいつまで続くのだろう。
身体は繋がずただ淫具だけで昂ぶらされる伽が。 いや、これは伽とすら呼べない手慰み、男の玩具だ。

ようやく意識を手放すことを許されて、高耶は一時の眠りに逃げ込む。
だから気づきようがなかった。
閉ざした瞼をさらに隠した自分の顔を見つめる直江の表情が、 ひどく優しく、苦く、痛々しいことに。





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