はづきよいやみ 立秋当夜――分水嶺の夜――






眠らせていたはずの独占欲が頭を擡げる。

今ならばどんなふうに抱かれようと高耶は自分を拒まない。
ただ与えられる快楽に酔い、諾々として従うだろう。
手酷い刺激や痛みや羞恥でさえ被虐の悦びにすりかえて。

直感は、すぐに身勝手な確信にかわる。

暴走しだした本能のまま、性急に押し挿ろうと崩れた腰を引き上げる。
脚を割り、暴いた秘所に掌の中の残滓をおざなりに塗りつけて、まだ硬く閉ざされた蕾に無理やりにでも道をつけようと猛る己をあてがったとき。

なおえ……と。

耳に届いた小さな声に、鞭打たれでもしたように身体が硬直した。
その無垢な響きには、陵辱めいた行為に対する怯えも制止も憤りもなく、 ただ純粋に自分を求める感情の発露のようだったので。

頭を巡らせて高耶が潤んだ瞳で見上げてくる。
欲情に煙った、だが、それだけではない真摯な瞳で。
身体を起こすと、直江の首に腕を巻きつけて自分から抱き縋った。何度も何度もその名を呼びながら、心ごとゆだねるように。

凶悪な欲望は、瞬時に霧散していった。
その根底にわだかまっていた危惧も焦燥も。すべて。

叫びだしたいような歓喜だけがこみあげる。
心のそこから全霊で欲されている。必要とされている。
それを無防備にさらけだした高耶がたまらなく愛しかった。





1枚目、直江が被さってないのは、直江の心の目で見た高耶さんてことで…。(^_^;)

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