舌と舌とが絡み合う。 息継ぎのたび、とろりと唾液が糸を引く。 まさぐる指は忙しなく、濡れた衣服を剥ぎ取って素肌を曝す。 どちらも主導は渡さない。互いの劣情を隠そうともせず、意地みたいに視線交わらせて 縺れあう。 褥に倒れこんでもなお、激しく体は入れ替わる。 覇を争う獣が、互いに相手の急所を狙って牙剥くように。 舐る。捩る。啄ばむ。捻る。捉える。翻す。焦れる。蠢かす。 いつもは快楽に素直な彼が今日はなぜだか後ろを許さない。どうしたことかと一瞬躊躇い、その隙に彼はするりと脚の間に陣取って身体を起こした。 互いの鼠蹊がくっつくほどの正面位。すでに勃ちあがっている二人のものをまとめて掌で包みこみ、意味ありげに見上げてくる。 ようやく高耶の意図を察して、直江も薄く笑った。 彼は一緒にいきたいのだ。 ならば、希に添うように、彼を高めてやればいい。 すべては瞬きほどの間に交わされた阿吽のやり取り。 閨の空気が変わった。 直江の指が今度はやわらかく優しく動く。 オスへの刺激は彼に任せて、代りに、知り尽くした彼の弱みを愛撫する。 彼があまく蕩けだしたのは、それから程なくのことだった。 二人の狭い隙間から淫猥な水音と、 オスの匂いが立ち上る。 下腹に感じる滑る感覚と突き抜ける快感、彼の指遣い。 その彼は時々感極まったように息を詰め、そしてやるせなく息を吐く。 いくつもの波をやり過ごして、やがて辿り着く臨界を待っているのだ。 次第に紅潮する肌。汗に湿って貼りつく黒髪。煩げに首振るときの顰められた眉根。しどけなく揺れる上体。 彼の存在そのものが媚薬。仕種のひとつひとつに煽られる。 はッはッはッ…… 彼の呼吸が荒いでいく。同時に指の動きも早まった。 解放は近い。 今にも溢れだしそうな彼の悦楽に最後の一献を。直江は、高耶の指ごと覆って激しく擦りたてた。 予期せぬ刺激に、彼が目を見開く。 あ…… 小さく口が開いた。 掌に熱い迸りを感じた。彼がついに達したのだ。間髪いれず、直江も練り上げていた欲望を高耶の手に吐きだした。 |