青 嵐 
-3-




舌と舌とが絡み合う。
息継ぎのたび、とろりと唾液が糸を引く。
まさぐる指は忙しなく、濡れた衣服を剥ぎ取って素肌を曝す。
どちらも主導は渡さない。互いの劣情を隠そうともせず、意地みたいに視線交わらせて 縺れあう。
褥に倒れこんでもなお、激しく体は入れ替わる。 覇を争う獣が、互いに相手の急所を狙って牙剥くように。
舐る。捩る。啄ばむ。捻る。捉える。翻す。焦れる。蠢かす。
いつもは快楽に素直な彼が今日はなぜだか後ろを許さない。どうしたことかと一瞬躊躇い、その隙に彼はするりと脚の間に陣取って身体を起こした。
互いの鼠蹊がくっつくほどの正面位。すでに勃ちあがっている二人のものをまとめて掌で包みこみ、意味ありげに見上げてくる。
ようやく高耶の意図を察して、直江も薄く笑った。
彼は一緒にいきたいのだ。 ならば、希に添うように、彼を高めてやればいい。
すべては瞬きほどの間に交わされた阿吽のやり取り。
閨の空気が変わった。
直江の指が今度はやわらかく優しく動く。
オスへの刺激は彼に任せて、代りに、知り尽くした彼の弱みを愛撫する。
彼があまく蕩けだしたのは、それから程なくのことだった。


二人の狭い隙間から淫猥な水音と、 オスの匂いが立ち上る。
下腹に感じる滑る感覚と突き抜ける快感、彼の指遣い。
その彼は時々感極まったように息を詰め、そしてやるせなく息を吐く。
いくつもの波をやり過ごして、やがて辿り着く臨界を待っているのだ。
次第に紅潮する肌。汗に湿って貼りつく黒髪。煩げに首振るときの顰められた眉根。しどけなく揺れる上体。
彼の存在そのものが媚薬。仕種のひとつひとつに煽られる。

はッはッはッ……
彼の呼吸が荒いでいく。同時に指の動きも早まった。
解放は近い。
今にも溢れだしそうな彼の悦楽に最後の一献を。直江は、高耶の指ごと覆って激しく擦りたてた。
予期せぬ刺激に、彼が目を見開く。
あ……
小さく口が開いた。
掌に熱い迸りを感じた。彼がついに達したのだ。間髪いれず、直江も練り上げていた欲望を高耶の手に吐きだした。





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こうれんさま、

肉食系のネコ科の獣を思わせる高耶さんに、ウットリです。
あ〜、ここの直江を見上げる高耶さんも描きたかったんだ・・・。
また、後日のおたのしみにします。

こすげ






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